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空気圧の歴史
工業会での空気圧の活用は最近のことであり、油圧機器の応用技術が普及・発達したことを受けて、その代替的な利用で空気圧技術が芽生えたと思われている。しかし、人類が空気圧を自分たちの生活の中に応用したのは、きわめて早い時期であって、原始時代にさかのぼる。
これは、われわれの身の回りが大気であり、空気の中で人類が生活し進歩してきたことを考えるならば当然のことで、不思議なことではない。
何が最初に出現した空気機器であるか定めにくいが、多分、原始人が飛び道具として狩猟に使った「吹き矢」が最初の機器であろうといわれている。人間の肺をコンプレッサ代わりにして、獲物めがけて毒矢を放つ吹き矢は、当時は重要な空気圧機器であったに違いない。
脱穀した穀物から、籾殻を分けるための「うちわ」を空気圧機器と呼ぶかはどうかは別にして、「ふいご」は立派な空気圧機器である。
古代には、現在の100円ライターのように手軽に火種を作ることはできなかったし、また、この貴重な火種を必要なときに燃え上がらせることは非常に大変なことであった。ふいごが発明されて、これが容易になり大いに威力を発揮した。
空気圧の特徴
- 圧力が一般的に5〜7Kgf/cuと低いことから1t前後の比較的軽作業に適する。
- 作動速度はシリンダにおいては50〜500mmと油圧や電気に比べて速い動きをさせることができる。
- 圧縮性のため正確な送り速度は得られないので、必要な場合にはエアハイドロチェッカーのようなものを併用し速度の正確さを出す。
- 圧縮性によるクッション効果を出すことができる。
- 大容量のシリンダでも作動頻度が間欠的な場合には、タンクを設けて設備を大型化しなくて良い場合がある。
- 油漏れもしないし安全性が高く清潔な装置ができる。
- 空気圧の場合、一般的には作動機器のところで発生した熱を空気が持ち去ってくれるので油圧や電気などよりも高温の場所で使用できる。
- 爆発性ガスの環境、洗浄器のように水を使用する装置では電気をまったく使用しない全空気圧回路による装置ができる。
- 空気圧では使用後の空気はその場で大気に放出するので油圧のような戻し配管が不要であり、配管作業が簡単である。
- 空気そのものは油と比べると潤滑性にかけているので、一般的には配管の中に油を噴霧して潤滑を行っている。最近では、給油の必要のない機器が開発されているのでその必要もなくなってきている。
- 空気圧ではその流体が油圧のように循環せず、コンプレッサからの空気は使用後大気放出されるので、ゴミの循環は考えられず、コンプレッサからの汚染を防止すれば内部発生は非常に少ないと考えられる。
空気の圧力
大気の密度は地表からの高さで異なり、この空気の重さが定められた面積に与える力を圧力といいます。私たちはこの大気圧の中で生活している為、このような圧力を感じることはありませんが、大気圧は約0.1MPaであり、これは1m2あたり100,000Nもの力が作用している事となります。
絶対圧力とゲージ圧力
完全真空を基準にした圧力を”絶対圧力”、大気圧を基準にした圧力を”ゲージ圧力”といいます。
空気圧力の理論式などには、すべて絶対圧力が使われ、一般の圧力表示にはゲージ圧力が使われます。