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振動規制法(法律第64号)

この法律は、工場及び事業場における事業活動ならびに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる振動について必要な規制をおこなうことにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護を目的としている。

1.適用範囲
第1章「総則」の第2条で次のように定義されている。
〔この法律において「特定施設」とは工場または事業場に設置される施設のうち、著しい振動を発生する施設であって制令で定めるものをいう〕
以上の定義のもとに、制令「振動規制法施工令」で定める「特定施設」の中で空気圧縮機は次のように規定されている。
〔特定施設〕
圧縮機(原動機の定格出力が7.5KW以上のものに限る)
  *各都道府県により規制している出力の大きさは異なるので注意すること。

2.使用上での注意
@届出
〔特定施設を設置しようとする場合〕
特定施設の設置工事の開始日の30日前までに所定の様式で必要事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3.振動の測定場所・方法
〔測定場所〕
特定施設を設置する工場または事業場などの敷地の境界線上
〔測定方法〕
JIS C 1510に定める振動加速度レベル計またはこれと同程度以上の性能を有する測定器を用いて測定し、振動感覚補正回路は鉛直振動特性を、動特性はJIS C 1510に定めるものを用いる。

4.振動の規制基準値
区域と時間により基準値は異なる。

特定工場などにおいて発生する振動の規制基準値
単位:dB
昼間
5:00〜19:00
夜間
19:00〜5:00
第1種区域
文教地区
住居専用地区、住居地区
60〜65以下 55〜60以下
第2種区域
商業地区
準工業地区、工業地区
65〜70以下 60〜65以下

振動規制法に基づいて、各都道府県においては、条例としてさらに細かく規制してある。したがって、空気圧縮機の定格出力による規制範囲、騒音の規制基準値なども、各都道府県により異なるので注意を要する。

5.振動レベルのdB(デシベル)表示について
JIS C 1510に定める振動加速度レベル計(公害振動計)などにより実測すればdB(デシベル)で表示されるため測定可能であるが、圧縮機を設置する前に振動加速度レベルを提出しなければならない場合がある。この場合には基礎の垂直方向の振動値(片振幅)より下記に示す計算方法で、dBに換算し推定する。
注)基礎の片振幅は据付場所の地盤の種類により大きく変化するため、地質調査が必要である。

計算式 L=20log(al/A0)
L:振動加速度レベル (dB)
al:加速度振幅の実効値 al=a/√2 (cm/s^2)
a:加速度振幅の最大値 a=x(2Πf)^2 (cm/s^2)
x:片振幅 (cm)
f:基礎の基本周波数 (Hz)
(実際には、周波数を実測する必要があるが測定できない場合は、圧縮機の基本周波数と同一であると仮定する。)
f=圧縮機の回転数/60
A0:基準レベル 10^−3cm/s^2

計算例
75kWXS−Wで地盤が地耐力10t/u以上の砂利層で標準基礎寸法の場合に、振動加速度レベルを求める。片振幅は5.4μmとする。

@基礎の基本周波数を求める。
f=970/60=16.2Hz
A加速度振幅の最大値を求める。
a=5.4×10^−4(2Π×16.2)^2=5.5947
B加速度振幅の実効値
al=5.5947/√2=3.956
C振動加速度レベルを求める。
L=20log(3.956/10^−3)=71.95dB

ゆえに、振動加速度レベルは71.95dBとなる。しかし振動規制法では、特定施設を設置する工場または事業場などの敷地の境界線上で規制するため、実際には距離による減衰があるため境界線上ではさらに低い値となる。