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配管と継手

空気圧システムで使用される各機器を点とすると、それらを結びつけ有効に働かせる線に相当するものが各種の配管材及び継手類である。
システムの動脈である配管材は、システムの制作上及び運転上での影響が多大であり、設計者は各部品の特徴を十分に理解する必要がある。

(1)配管
1.種類と特徴
配管材は金属管と非金属管に大別される。非金属管で細くて可とう性のあるものはチューブ、補強層のあるゴム製のものはホースと呼ばれることが多い。
表1に主な配管材料を示した。

表1 主な配管材料
区分 名称 備考
金属管 配管用炭素鋼管
配管用ステンレス鋼鋼管
銅継目無管
アルミニウム継目無管
各種樹脂被服管
JIS G 3452
JIS G 3459
JIS H 3300
JIS H 4080
非金属管 ナイロンチューブ
ポリウレタンチューブ
ポリエチレンチユーブ
ビニルチューブ
テフロンチューブ
空気用ゴムホース
JIS B 8381




JIS K 6332

金属管は工場配管や大型装置の非稼動部分に使われる。最も一般的なのは鋼管で、強度、耐熱性ともに十分であるが、空気圧用には亜鉛メッキを施した耐食性のある白管を使用する。鋼管の呼びを寸法について表2に示した。

表2 配管用鋼管の呼びと寸法(JIS G 3452)
呼び 外径
(mm)
厚さ
(mm)
内径(目安)
(mm)
6
8
10
15
20
25
32
40
50
1/8
1/4
3/8
1/2
3/4
1
1 1/4
1 1/2
2
10.5
13.8
17.3
21.7
27.2
34
42.7
48.6
60.5
2.0
2.3
2.3
2.8
2.8
3.2
3.5
3.5
3.8
6.5
9.2
12.7
16.1
21.6
27.6
35.7
41.6
52.9

従来細かい部分の配管には用意に曲げられる銅管や、アルミニウム管などが使われていたが、最近はプラスチックチューブに置き換わりつつある。
プラスチックチューブは作業性がよく、耐食性もあり、比較的安価である。
プラスチックチューブにはナイロン、ポリウレタン、塩化ビニル、フッ素樹脂(テフロンなど)などがあるが、使用量の多いナイロンとポリウレタンについて説明する。
ナイロンには分子構造の異なるものが何種類かあり、さらに可塑剤や添加剤による物性の違いも有る。このためJIS B 8831-1985の付属書でも、空気圧用のナイロンチューブについては11または12ナイロンと規定している。ナイロンチューブの寸法と最小曲げ半径を表3に示した。

表3 ナイロンチューブの寸法と曲げ半径(JIS B 8381)
管の呼び 外径
(mm)
内径
(mm)
最小曲げ半径(r)(mm)
AH AL
4
6
8
10
12
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
2.5
4.0
6.0
7.5
9.0
20
30
48
60
72
13
20
32
40
48

ナイロンチューブより柔軟性のあるポリウレタンチューブは、復元性があるので、細かい配管が必要な部分や稼動部分に使用されている。ポリウレタンチューブに使われる樹脂は大別して耐酸化劣化性、耐溶剤性に優れたエステル系と耐可水分解性、耐微生物劣化性に優れたエーテル系の2種類に分類される。
ポリウレタンチューブの寸法と曲げ半径を図4に示した。

表4 ウレタンチューブの寸法と曲げ半径(一例)
管の呼び 外径
(mm)
内径
(mm)
最小曲げ半径
(mm)
使用圧力
(MPa)
4
6
8
10
12
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
2.5
4.0
5.0
6.5
8.0
10
15
20
27
35
0.59以下
(硬質の場合)

ゴムホースは、材質や配合の種類が多く、それによって特性もさまざまなので、耐油性などの性質を確認したほうが良い。屋外の仕様ではオゾンによる劣化でクラックの出ることも有る。ゴムホースの呼びは、概略の内径寸法に近い値をとっている。
2.使用上の注意
鋼管やステンレス管は呼びと実寸(内径)が性格に一致しない。新しく設備した場合には使い始める前にフラッシングを十分行い、配管内に切粉やシール剤の破片などが残っていないようにする。
ナイロン及びウレタンチューブは、温度による耐圧力の変化が大きいので、圧縮機の近くなど高温(50度を超える温度)になる場所には使用しない。
また、最小曲げ半径以下で使用すると、チューブ折れなどの破損の原因になるので注意する。
3.保管
金属管、プラスチックチューブ、ゴムホースともに湿度のあまり高くないところに保管する。長期に渡る場合には管の両端をふさぎ、管内にゴミなどが入らないようにしておく。チューブやホースはあまり小さく巻いたままだと、巻きぐせがつき使いにくくなることがある。

(2)継手
1.種類
空気圧に使用されるおもなな継手を表5に示す。

表5 おもな空気圧用継手
区分 名称 備考
金属管用 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手
ステンレス製ねじ込み式継手
くい込み式管継手
フレア式管継手
JIS B 2301


非金属管用 フレアレス継手
インスタント継手
バーブ継手(竹の子式)
カプラー
JIS B 8381



鋼管で接続する場合は、端部に管用テーパねじ(Rねじ)を切って直接空気圧縮機にねじ込む例が多い。鋼管は可とう性がないので、曲げたり分岐したりするために、ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手を使用して配管する。
フレア継手はステンレス管、銅管などの管の先端を円錐状(フレア)に広げてこれをナットで締め付けるもので図1に構造例を示す。フレアレリーズ継手は主にプラスチックチューブを樹脂または黄銅製のスリーブを介してナットで締め付けることで固定する構造で、チューブの内側にインサート部のあるものと、インサート部がないものとがある。図2図3に構造例を示す。以上の継手は、ナットの締め付けにスパナが必要なため、取り付けのためのスペースが必要になる。
図1

図2
図3
インスタント継手(ワンタッチ継手)は、チューブを継手に差し込むだけで固定され、気密性が得られるもので、チューブを把持する機構と機密性を確保するシール部、チューブの把持を開放する機構から構成されている。ナイロンチューブおよびウレタンチューブに使用できるもので図4に構造例を示す。
図4

バーブ継手は、ナイロンおよびウレタンチューブ、ゴムホースに使用される。安価でコンパクトなので、小径のものや圧力の低い場合、簡便さが要求される場合に使用される。ゴムホースなど耐圧が必要な場合はホースの外側からホースバンドで固定する。図5に構造例を示す。
図5
急速継手(カプラ)は、配管を反映に接続したり分離したりする場合に使用するもので、外側のリングを操作することにより、内側のボールのロックを解除または固定する構造がある。(図6参照)この継手にはバルブ(チェック弁)が内蔵されており、分離したときの漏れを防止するものがあるが、片方向しか効かないものと両方向のものがあり、用途に合わせて使用する。
図6
2.使用上の注意
ねじ込み式継手のテーパーねじ部にはシール、錆付き防止の目的でシールテープを巻いて使用するが、この巻き方が悪いと、漏れや機器のトラブルの原因となるので図7に示すように行う必要がある。
図7
ナイロンおよびウレタンチューブは、外径が呼びになっているが、インサート部のある継手では内径も一致しないと使用できない。またインスタント継手はチューブ外径公差が厳しく、楕円形に変形したり、チューブ外面に傷などがあると漏れることがある。バーブ継手は、いったん差し込むとチューブを切断しないと管を取り外せない。このとき竹の子部分に傷をつけないよう注意する。
鋼管で配管する場合はメンテナンスを考慮して、適当な位置にユニオン継手を使用し、部分的に分解できるように、また、ねじ込む長さを考慮して寸法をきめるなどが必要である。
継手は必要以上に締めすぎない。空気圧機器はアルミニウム合金、亜鉛合金製のものが多いので、締めすぎると割れて漏れを発生する場合がある。
継手に配管を装着する前に十分にフラッシングを施し、ねじの加工くずやシールテープの切れ端などのゴミを除去する。
急速継手を電磁弁とシリンダの間に使用する場合は、加圧方向に制限のない両側チェック弁内蔵式のものを使用する。片側チェック弁式のものは空気流量が極端に少なくなったり、流れなくなる場合があるので注意する。
3.保管
鉄製の部品は湿度の低いところに保管し、さびが出そうな場合には油を塗っておく。プラスチック製の継手部品にも湿度に敏感なものがあるので、ポリエチレンの袋に入れて保管したほうが良い
(3)ねじ
管や継手の端部には多くの場合ねじが切ってあり、管と継手や管と機器、継手と機器を接続している。配管で使われる主なねじは、R(PT)ねじとG(PF)ねじであるが、特に小径の機器にはM5(P0.8)も使われる。外国製の機器の場合には、ねじが合わないことが多いので事前に確認する必要がある。